偉大なる母
昨日の記事、サンダース・宮松敬子著「カナダ生き生き老い暮らし」の続編である。トロント移住者向けの新聞「日加タイムス」に掲載された母親宮松芳子さんの手記から抜粋する。
最愛の夫は戦死、桐箱の石になった。「・・・しかし人間というのは、本当に悲しいときには涙は出ないものだということを、この主人の死によって私は身をもって体験しました。・・・」痛切な言葉である。「人間、過ぎてしまった過去を振り返ってもどうなるものでもありません。今あるのは前を見て歩くことだけです。」納得させる言葉である。2000年の出版であるが今後も古くならない。
娘さんにライターという特技があったのは幸いである。「感動しました」「勇気をもらいました」を多数が共有するのは記録(本)のおかげ。私もその恩恵に浴する。自ら満州開拓団の惨劇を出版した人もいる。広く知られるのはごく一部である。記録されなかった数多の人生があると思う。女手一人で子供を育て、あるいは再婚し、また婚期を逸した。女一人が生き、現に生きている。娘さんはそのことに謙虚である。多くは家庭内口承によって伝えられる。偉大なる母の世代に比較して、我々は子供たちに何を残せるだろうか。あれこれのことを考えさせる好著である。
備忘録:写真は1939年(昭和14年)10月に発表された「出征兵士を送る歌」の宣伝用フィルムから部分カットした。




















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